コラム【行政書士になって一番はじめの建設業許可申請】

行政書士といえば、「建設業許可」とよばれるほど

代表的な業務であり、建設業者の方々には大変お世話になっております。

開業したての駆け出しの私を育ててくれたのも、建設業の方々でした。

今では屈強な女子として、こわーい事業者さんにも恐れられてますが。。。

一番はじめに建設業許可の申請をご依頼頂いた事業者さんは
格別な想いがあります。

その方は、父の営む建設会社を兄と二人で従事していました。
地元ではよく知られた建設会社さんです。

父の引退後、兄弟はケンカ別れをしてしまい、
依頼者である弟さんが独立し、数年建設業を営んでおりました。

建設業許可申請にて
「経営業務の管理責任者」の要件は必須です。

それを証明する添付書類に
兄の会社から証明印を頂かなければならないケースでした。
絶縁状態の兄弟では、ハンコを押していただくこと、
つまり弟に協力すること自体も面白くありません。
(今は別の方法で補てん可能ですが)

先方へ事情をご説明し、私が取りに行くことにしました。
兄の会社の前に立つと、怖くて足が震えました。
会社員時代、部下のクレームに怒り心頭の相手先に出向いても
こんな緊張はありません。会社という大きな看板に守られてたんだなと、
この時初めて気が付きました。

扉を開けると、「何しにきたんだ!」と電話で少し話した時のように
怒鳴られるにちがいない。

不安を悟られまいと訪問と同時に大きな声で挨拶してから、
その後、どんなふうに何を話したのか記憶がありません。

無事ご捺印いただき、会社を出る際に、
長年勤めている事務員の女性にこっそり呼び止められました。

「行政書士の先生、○○ちゃん(弟さん)のこと、
よろしく頼みますね。無事許可を取って応援してやってください。」
と兄に聞こえないように、激励してくださいました。

この方にとっては兄弟とも大切なお二人で、
お二人を想う気持ちがとてもあったかく、
忘れられない言葉になりました。

建設業の許可申請で、
ぶつかったことのない難題に当たった時は、
いつもこの方の優しい笑顔を思い出します。