コラム【道具へのこだわり】

行政書士の前田です。

事務用品というものは、私たちの仕事において商売道具です。
なので、事務用品へのこだわりは人一倍強いと自負しています。
商売道具への感謝の気持ちは忘れていけません。
常に感謝しながら、大切に使用しております。

あのイチローも道具へのこだわりが人一倍強いと言います。
バッターボックスから走塁するときも、必ずバットは投げず、
そっと置くことを徹底しています。道具に対して常に敬意を
持つことを信念としています。

最近、事業年度終了届のご依頼をたくさんいただいているため、
鬼のように電卓を叩いておりますが、私の使用している電卓は
まったく機能的にも優れている訳でなく、決してスタイリッシュでも
ありません。

しかし、この電卓を10年以上、愛用しています。
家電量販店に行けば、1000円にも満たない金額で購入できる代物ですが、
この電卓には思い入れがあります。

大学を卒業し、いよいよ社会人一年生という時まで話は遡りますが、
私が就職した会社は入社してから4ヶ月間程、研修施設や寮で生活し、
同期と寝食をともにしながら、研修を受けるというスタイルでした。

会社からは、読む気も失せる程、分厚い説明書を入社前に渡され、
その中には、「準備が必要なもの」がたくさん書かれておりました。
学生気分が抜けきれない私は、ギリギリまでろくに準備もせず、
遊び呆けていましたが、見るに見かねたわたしの親が、
一人せっせと必要なものを買い揃え始めました。
とうとう、ほとんど何の準備もせずに、全部揃えてもらった状態で研修に
向かうことになりました。

研修施設での生活が始まると、「親に揃えてもらったもの」を目にする度、
甘い自分に恥ずかしくなるばかりでした。
その中に今でも使用し続けている電卓があった訳なのですが、
なぜ、今も使い続けているのかと言えば、
「その時の甘い自分を戒めるため」です。
もう「=」のボタンなんて、はげてきています。
でも、この電卓を見ると、気が引き締まります。
きっと壊れるまで使い続けると思います。

物一つ一つに大切な思いがあります。
自分の道具を大切にできない人が、他人の書類を大切にできる訳がありません。
大切な書類を預ける事務所の選定基準として参考にして頂けたらと思い、
お話致しました。

ご静聴ありがとうございます。

前田