コラム【表現の自由と公共の福祉】

行政書士の前田智也です。

今日は大晦日です。
子どもの頃は、夜更かしができる今日のこの日を楽しみにしていたのですが、
今となっては、夜更かしはいいから、早く寝たいと思ってしまいますね。
まあ、せいぜい紅白歌合戦を見て、カウントダウンTV見て、年越しそばを食べて、
少しだけお酒を飲むぐらいです。(意外と楽しんでいる(笑))

さて、同じ士業であるだけに少し残念だと感じるようなニュースが年末の
日本を賑わせておりました。愛知県社会保険労務士会に所属する
社会保険労務士の先生が、公開しているブログの内容に、
一部社会保険労務士全体の信用を失墜させる表現が含まれているとして、
処分を受けたそうです。
しかも、3年の会員権の停止です。
処分としてはかなり重いと考えられます。

ブログの内容について、報道されている表現を見る限りでは、
確かに不適切だと感じずにはいられませんが、報道では全体を見せずに、
一部だけを切り取っているため、何とも判断ができないというのが率直な感想です。

処分を受けた先生を擁護するつもりはありませんが、
昨今、「表現の自由」が少し、ないがしろにされているように感じます。
「表現の自由」はご存知のとおり、憲法によって保障されています。
しかし、保障されているからと言って、何を言ってもいいわけではなく、
公共の福祉に反しない範囲内で保障がされています。
ざっくり要約すると、何を言ってもいいのではなく、
他人の名誉を傷つけたり、損害を与えるようなことは認めないということです。

今は過激な表現をすると、ネットで叩かれることが多いため、変に委縮してしまい、
差し障りのない表現でその場をやり過ごそうという姿勢が散見されます。

今年、映画の第二弾が公開された大ヒット作「図書館戦争」という小説があります。
この作品は、書籍等の表現物が検閲の対象になっている社会を描いております。
表現の自由が奪われた極端な世界を描いていますが、いずれ本作品に近い状態に
なるのではないかと懸念しています。

これが杞憂に終わってくれればいいのですが。

2015年の最後はなかなか重めの話題です(笑)

それでは皆様、よいお年を。

前田