行政書士の前田 智也です。
職業柄、数多くの戸籍を目にする機会があります。
物体としては、紙切れ一枚ですが、そこには、
人の人生の経過が記録されています。
私は、そこに惹きつけられたのか、ずっと戸籍制度の勉強をしてきました。
まだまだ、勉強中の身ですが、長年、勉強してきたこともあり、
明治に作られた墨で書かれたような手書きの戸籍も読めるようになりました。
今のところ、どうしても解読できずにお手上げになるような戸籍に出会ったことはありません。
そして、日本の戸籍制度を掘り下げつつ、徐々に海外の戸籍制度にも興味が出始めました。
これからは、日本に限らず、世界の戸籍制度の勉強も少しずつしていきたいと
考えています。特に中国の戸籍制度は日本とは大きな違いがあり、
驚きの連続です。機会があれば、本ホームページでもご紹介したいと思います。
さて、何度か戸籍を取得されたことがある方ならお気付きだと思いますが、
戸籍を遡り続けてもある一定の時期までした取得することができません。
保存期間というものが戸籍法に定められているため、建前上は、
遡り続ければ、取得できない時期に辿り着くことになります。
でも、保存期間を経過したら、本当に廃棄してしまっているのでしょうか。
廃棄しているものもあるとは思うのですが、どうやらすべてが廃棄という訳では
ないようです。
現在、取得できる戸籍は明治19年式戸籍までだと思います。
(家督相続の記載や戸主が記載されているもの)
それより、前の戸籍は私でもお目にかかったことがありません。
それは、今どこの市区町村でも取得することができないと言われています。
明治5年式戸籍(いわゆる壬申戸籍)と呼ばれるものですが、
閲覧や謄本が取得できない理由は、
そこには当時の身分制度が明記してあるからです。
実は昭和40年頃までは、閲覧することができたのですが、
身分による差別を招き、不利益を被るケースがあったことから
今では完全に閲覧を禁止しています。
日本でも調べてみればさまざまな戸籍の歴史が存在します。
その歴史を辿って出来上がった戸籍が今の戸籍です。
そこに浪漫を感じてしまうのは私だけでしょうか。
ご静聴ありがとうございました。
前田